わたしは、約20年間にねだり、低身長のお子さんの診療に携わってきました。受診 されたお子さんのなかには、治療を必要とするお子さんもいます。しかしそのI方で、 生活面の改善をするだけで身長の伸びがよくなっているお子さんも多数いらっしやい ます。そうした経験から、「身長を伸ばすために役立つ情報を、具体的かつ正確に伝え たい」と思い、まとめました。
身長に関しては、俗説や間違った情報がまかリ通っている現状があります。親なら ばだれもが、「わが子の身長を伸ばしたい」「健やかに大きく育ってほしい」と願うも のです。わたしは、その親の思いや愛情が、「正しい知識や情報」に基づいたうえで、 お子さんへ向けられてほしいと願っています。
ここでは、科学的知識に基づき、栄養や睡眠、運動などの観点から、身長を伸ば すには何か大切なのかをわかりやすく解説しています。また、すぐに生かせるように、 「具体的にはどうすればいいのか」といった情報も紹介しました。
低身長は、「単に背が低い」ということにとどまらず、その原因が病気に起因するこ とかあります。そうした病気による低身長についても医学的に解説し、どのような場 合に受診や治療が必要なのかも述べています。低身長の治療の中心となるのが、成長 ホルモン療法です。その内容についても触れました。
身長が伸びるのは、子どもの時期だけ。伸びる時期には、締め切りがあります。具 体的には、乳幼児から中学生くらいまでの時期です。からだがおとなになってしまう と、もはや伸びません。残念ながらおとなの身長を伸ばす方法は、今のところないの です。つまり、身長を伸ばすのは、子どもの時期だけがチャンス。この時期に、親と してできるだけのことをしてあげたいものです。
ただ、忘れてはならないのは、身長だけにこだわる必要はないということ。子ども たちの個性を生かしながら、いろんな能力を伸ばしてあげることが何より大切です。
一人ひとりの子どもは、「数多くの可能性の芽」を必ずもっています。そういった、 わが子の個性や可能性、能力を発見して伸ばしてあげることも、親の大切な役割だと 思います。子どもの個性や気持ちを大切にしながら、のびのびと「可能性の芽」を伸 ばせるような親の思いや配慮……それが、めぐりめぐって健やかな成長や身長を伸ば すことにつながってくることでしょう。
低身長のお子さんの診察や検査、治療を行な っています。治療の必要な人はもちろん、そうでないお子さんについても、食事や睡 眠といった生活習慣の改善指導を、あわせて行なっています。
低身長でお悩みのお子さんの多くは、病気によるものではありません。生活習慣の 改善だけで、身長が伸びるようになったケースは数多くあります。
極端に身長が低い場合には、注意が必要です。たとえば、学校のクラスでは 一番前で、しかも2学年下のお子さんよりも身長が低いといったケース。このような 場合には、医療機関などで診察を受けたほうがよいと思います。
今の身長はどのくらいあるのかと気にするよりも、1年間の伸び率(1年間 で何m伸びたか)に着目してあげてください。この伸び率が大切なのです。今は低く ても、伸び率がよければ、あまり心配はないでしよう。
は、さまざまな生活習慣における注意点を述べました。でもじつは、「これ さえやれば身長が伸びる」といった、決定的な方法はありません。毎日、何気なく送 っている生活。そこで食事や運動、睡眠など、さまざまな気遣いをしながら毎日の生 活を送った結果が、身長の増加、健康的な成長として開花するのです。
底に流れる、もっとも大切なことは「親からの愛情」です。不思議なことに、 栄養や睡眠などが足りていても、そこに愛情がなければ子どもの背は伸びにくくなっ てしまいます。親の愛情を感じながら、子ども自身の情緒が安定し、安心して日々を 過ごせること。これが一番大切なのです。
それには、親自身も気持ちが安定していることが必要となってきます。子育ては、 とても大変なこと。つい、ガミガミと怒ってしまうこともあるでしよう。でも気持ち に余裕がもてれば、少しずつイライラもほぐれてくるものです。親自身がリラックス していれば、子どももリラックスした生活をおくることができます。あまリピリピリ せず、子どもなりの成長を温かく見守ってあげましよう。
子供たちがのびのびと、健やかに成長されることを心から祈っています。
「寝る子は育つ」はほんとうですが、俗説には誤った情報が 多いもの。何が正しくて、何が間違いなのかを知り、正しい情 報にもとづいた日常生活を送ることが大切です。
背を伸ばす栄養素。子どもの成長にとって重要な成長ホ ルモン。その分泌を促すために必要な睡眠と運動。背を伸ば すために何が大切なのかを知っておきましょう。
意識的に身長を伸ばせるのは、乳幼児期から思春期前まで。 思春期に入ると、背を伸ばすより、骨を丈夫にすることのほう が大切になってきます。思春期前までが勝負です。
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